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まず、最初に「なぜ遺言が大切か」をご説明しましょう。まず、「もしも遺言がなかったら」を考えて下さい。(某TVのコントではありませんよ。現実の場合これがけっこう笑えない話となりますので・・・)
遺言書が存在しないとどういうことになるかと言いますと、民法の規定が適用されます。つまり例えば、ご主人が亡くなりますと奥さんと長男、次男が相続人となるわけです。上記のケースがご説明しやすいのでそのまま続けさせていただきますと、亡くなった御主人が土地と家は長男に継いでもらって残された奥様の生活もみてもらって、都会に出ている次男には車と株券を・・・などと想定されていても、遺言書がなければ、次男がいきなり自分の家族をつれて戻ってきて「法律に基づいて分割するべきだ」と言ったときには、法律に基づいて分割せざるをないのです。そして結果として想い出の詰まった家を売却して代金で持分を分ける結果となることも予想できますね。
さらにもう少し細かく例をあげてみましょう。よくTVのドラマのワンシーンで嫁と姑がでてきたりします。みなさんのご家族のように仲がよければよろしいのですが、なかなかそうはいきません。姑(つまり自分の嫁さん)があまり世話をしてくれなくてとても財産を残す気にはなれない。一方長男の嫁のほうは、それはそれは献身的に老後の面倒をみてくれたとします。あなたが遺言書に「長男の嫁に○○を遺贈する」としておくだけで長男のお嫁さんに報いてあげる事ができるのです。逆にそうしておかないと、長男のお嫁さんには一銭たりとも残せないのですね。
くどくならない程度で、もう一例ほど。皆さんの中には大変な愛犬家、猫さんの好きな方がおられますね。お年を召した方で「うちのミー君は、私に何かあればどうしましょう・・・」などとお悩みになっておられるかもしれませんね。こういったケースも遺言書に少し書いておくだけで安心できるというわけなのです。以上のように、「遺言書をつくる」ということは、自分の意思を遺すということであり、またご自身の希望どおりに財産を配分することなのです。
どうでしょうか。少しは遺言書の作成の重大さが判っていただけましたか?

最近では、テレビの法律情報番組などで遺言が扱われることも多くなり、また書店に行ってもたくさんの遺言の本が並んでいます。多くの人に遺言の知識が広まっていると言えます。しかし、いざ遺言書を書こうとなると、具体的にどう書いてよいのかと悩まれることも多いでしょう。このホームページでは、自分の遺言を作れるように、具体的に遺言の作成方法を解説します。
遺言を法律上効力を持たせるためには、法律の定める方式に従わなければなりません(民法960条)。好き勝手な方法で遺言を作ってしまうと、相続が開始されたとき(遺言者が亡くなったとき)に、遺言が無効になってしまう可能性があります。ですから、遺言は、細心の注意を払って書く必要があります。

それでは、遺言によりどのようなことが出来るでしょうか? 法律は遺言事項について厳格に定めています。
(1)財団法人設立のための寄附行為(民法41条2項)
(2)認知(民法781条2項)
(3)未成年後見人の指定(民法839条)
(4)後見監督人の指定(民法848条)
(5)相続人の廃除・廃除の取消(民法893条・894条2項)
(6)相続分の指定・指定の委託(民法902条)
(7)特別受益者の持戻免除(民法903条3項)
(8)遺産分割方法の指定・指定の委託・遺産分割の禁止(民法908条)
(10)共同相続人間の担保責任の指定(民法914条)
(11)遺贈(民法964条)
(12)遺贈減殺方法の指定(民法1034条但書)
(13)遺言執行者の指定・指定の委託(民法1006条1項)
(14)信託の設定(信託法2条) など
これらの事項に当たらない遺言の内容は一般的に無効となります。なお、(1)寄附行為、(2)認知、(5)相続人の廃除・廃除の取消、(7)特別受益者の持戻免除、(14)信託の設定、については生前でもすることができます。それ以外については、遺言でしかすることができません。

上記のように遺言では相続分の指定をすることができます。しかし、遺言でもってしても奪うことのできない、相続分があります。これを遺留分といいます。
本来、遺言によって財産をどのように相続させるかは遺言者である被相続人の自由なはずです。しかし、被相続人の財産に依存していた遺族の生活保障などの意味もあり、遺留分が法律で定められています。もっとも、遺留分は当然に認められるわけではありません。「遺留分の減殺請求」を行なってはじめて行使できることになります(民法1031条)。
家族が、被相続人と妻1人子1人であったとします。そして、被相続人は全財産を妻に相続させるという遺言書を残して亡くなったとします。被相続人が亡くなって、相続が開始され、子が遺言の内容を尊重して遺留分の減殺請求をしなければ、遺言書の内容のとおりすべて妻が相続することができます。
しかし、遺言内容を納得せずに子が遺留分減殺請求したとします。妻と子が相続人の場合、被相続人の財産の2分の1は相続人に遺留分として認められていますので(民法1028条2号)、遺留分全体(総体的遺留分)から子の法定相続分の2分の1をかけたもの、つまり、財産の4分の1を、子は遺留分として請求することができます。(民法1031条)
なお、遺留分は兄弟姉妹には認められておらず、直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1です(民法1028条1号)。また、遺留分減殺請求は、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから、1年間行使しないと時効によって消滅します。相続開始から10年経過しても同様です。(民法1042条)
| 血族相続人 |
配偶者 |
| |
法定相続分 |
法定相続分 |
| 1.被相続人の子 |
2分の1 |
2分の1 |
| 2.被相続人の直系尊属 |
3分の1 |
3分の2 |
| 3.被相続人の兄弟姉妹 |
4分の1 |
4分の3 |
法定相続分の割合
| |
遺留分権利者 |
| 同順位の者だけで相続するとき |
配偶者と子 |
配偶者と
直系尊属 |
配偶者と
兄弟姉妹 |
| 配偶者 |
子 |
直系尊属 |
兄弟姉妹 |
| 遺留分 |
配偶者 |
2分の1 |
― |
― |
― |
4分の1 |
6分の2 |
2分の1 |
| 子 |
― |
2分の1 |
― |
― |
4分の1 |
― |
― |
| 直系尊属 |
― |
― |
3分の1 |
― |
― |
6分の1 |
― |
| 兄弟姉妹 |
― |
― |
― |
なし |
― |
― |
なし |
遺留分の割合

遺言を書くにあたって、遺留分に注意をする必要があることをお分かりいただけたと思います。
それでは、法律ではどのような遺言の方式が定められているのでしょうか?
法律で定められている遺言の方式は、大きく分けて普通方式と特別方式に分けられます。普通方式は、自筆証書遺言(民法968条)、公正証書遺言(民法969条)、秘密証書遺言(民法970条)の3種類があります。特別方式は、死期が迫っている人が行なう危急時遺言、一般社会と隔離された人が行なう隔絶地遺言があります。
普通形式の遺言から詳しく見ていくことにしましょう。
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